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高台の家 -坂のある街-

DATA
  作品分類 住宅
       
  竣工日 2015年11月
       
建築家データ
  設計者 守谷昌紀
       
  施工者
       
物件データ
  建築面積 99.06平米
  延べ床面積 128.47 平米
  建ぺい率
  容積率
  構 造 RC
  所在地 兵庫県
       
建築家からのコメント
  30代のクライアントは、はたと困ったそうだ。「私達は何処に住みたいの?」。 様々な敷地を見て、ようやく坂のある街が好きだと気付いたという。台風の多い沖縄は、RCの住宅も多い。学生時代を沖縄で過ごした夫は、RC打ち放しのマンションで暮らした。光が壁に当たる様をみて、その美しさを知ったそうだ。この2つのが、この計画の両輪となっている。 敷地は昭和47年に開発された南向きの山腹にある。開発の際は切土盛土を繰り返すのが一般的だが、最上部に近い為か全てが非常に硬い岩盤だった。東には3〜4mの段差があり、特に南東の景色が素晴らしかった。 1階は各個室と水回り、そしてダイニング・キッチンのみとした。2階はプライバシーを確保するため、出来るだけ北側に寄せ、北は閉じている。1階のキューブに対して1.2m北にずれ、庇を1.2m跳ね出し、その下に駐車場を確保した。 南東の景色を望むなら、限界まで東へも寄りたい。東の擁壁には荷重を掛けず、階段部分を宙に浮かすことを考えた。街の傾斜にそって、コンクリートキューブを北に、東にずらし、慎重に積み上げたのだ。 2階には、用途を限定しない空間がある。P室と名付けられたが、ここにはテレビを置かない。その存在感に支配されない為である。柔らかな日差しの下で本を読んだり、雨だれを眺めながら音楽を聞いたりする空間だ。 バルコニーにでれば、コンクリート壁に穿たれた開口から素晴らしい眺望を得ることができ、更に、外からの視線を気にせず、自然を感じることが出来る。また、深い庇は、夏の直射を防ぎ、冬の陽光は遮らないよう設計されている。言わばコンクリートの縁側。 庇の作り出す中間領域が豊かな内部空間を生む。これは日本古来からの手法である。西隣にある視聴覚室は、映画を観たりする部屋で、東にはピアノ室。常に用途が明確になっているのだ。 効率、便利が求められる世の中である。建築も勿論類に漏れない。しかし、決めると言う事は、他の可能性を捨てる事である。住まい手の「豊か」と「大切」を見つけ出し、空間化出来たのではないかと思っている。 (写真) 01 南外観 02 西外観 03 南東外観 04 リビングダイニング 05 P室
 
建築家DATA
  建築家名 守谷昌紀
  事務所名 一級建築士事務所アトリエm
  URL http://www.atelier-m.com/